今回は諸星大二郎先生の1978年の短編「食事の時間」を紹介します。
沙村広明先生の「ハルシオン・ランチ」に出てきたので、原典を引っ張ってきました。
表紙。
タイトルページ。
とある上流家庭の破産。
父は自殺し、母は子を捨てるしかなかった。
子供はスラム街へ向かうが、貧民に襲われ、
追われていたところをスラムの少年に救われる。
アジトに行くと、
あっという間に服をむかれ、食べられてしまう。
なぜだー?!ってのはおいといて。
ここまで、流されるままの子供の名は折葉強(おりばつよし)。
賢明な皆さんはもうお気付きと思いますが、これってチャールズ・ディケンズの「オリバー・ツイスト」のパロディーなのでした。
スラムの少年「鈍助」は「ドジャー」、
アジトの親分「兵銀親分」は「フェイギン」、
「犀吉」は「サイクス」。
さて、清掃庁の「救民車」がスラムに食糧を運んでくる。
貧民たちが食糧に群がる。
(が、どう見てもゴミじゃん…)
絶望的な食糧危機に陥っていて、上流階級に優先的に食糧をまわし、その廃棄物を下層階級に処理させている、という設定なのでした。
貧民は生化省で「虫」と呼ばれる微生物を胃に植え付けられていて、ゴミでも消化できるようにさせられているとのことです。
犀吉・鈍助・折葉は生化省にしのびこみます。
そこでは役人たちが唾棄すべき人体実験の話をしていました。
それを耳にした犀吉は暴れ、機械を壊してしまいます。
生化省ビルの最上階のX線電子炉が爆発し、放射線がスラム中に撒き散らされてしまいました。
大量の放射線を浴びた貧民たちは、体内の微生物が突然変異を起こしてしまいます。
ここから先…。
諸星イズムがほとばしります。
暴走というか…。
ここから先は、諸星大二郎特選集「男たちの風景」でお楽しみ下さい。